おとなの夏休み 2日目
まことに充実した一日でございました。
夏らしさを存分に満喫したような気がする。
旅日和な快晴のお天気で、しっかり日焼け止めを塗ったのに少し焼けてしまうほどだった。
事前にちゃんと覚えておかなかったのがいけなかったのだけれど、だいぶ道に迷いました。
だって峠道が圏外なんだもの。
Googleマップがなければ目的地にたどり着くの難しい…。
お出かけは祖父母と母を連れて、私が運転するのが常。
野月家では寄り道が旅の醍醐味なので気分で目的地を追加することも。
だから、大まかな目的地と出発時間と帰宅時間を決めたら、
あとはなんとなくってことが多い。
今回は、柳津町の福満虚空蔵尊と斎藤清美術館に行ってまいりました。
そして途中で恵隆寺の立木観音も追加。
▶︎福満虚空蔵菩薩 圓藏寺
円蔵寺(えんぞうじ)は、福島県河沼郡柳津町にある臨済宗妙心寺派の寺院。山号は霊岩山。本尊は釈迦如来。この寺にある虚空蔵堂は「柳津虚空蔵」(やないづこくぞう)として知られ、村松山虚空蔵堂(茨城県東海村)・金剛證寺(三重県伊勢市)などと共に日本三虚空蔵のひとつに数えられる。また、「福満虚空蔵」とも称される。
この寺の創建年代等については諸説あって不詳であるが、縁起などによれば807年(大同2年)空海作とされる虚空蔵菩薩を安置するため、徳一が虚空蔵堂を建立したのが始めとされる。
円蔵寺の趣は素晴らしい。
そして参道の苔がよき。
すごく晴れていたから、
木の影がより苔を美しく見せていた。
なんて云えばいいかわからないけど、こういう影がとても好き。
さらに、円蔵寺は赤べこの発祥の地と言われております。
野月は赤べこ(とくにあかべぇ)推しなので、まさに聖地でございます。
満子がいました。
娘は道の駅の方にいます。
円蔵寺では御朱印に対してとても強い想いを抱いていて、すごく考えさせられた。
時代に流されず強い意志をもっているから、とても純粋でまっすぐな信仰が続いているんだろうなと思う。
帰りに境内で食べたつめたいところてんが美味でした。
あわまんじゅうで有名な小池菓子舗が入り口にあるけれど、ものっすっごく並んでいたので本店ではなく出張所で買いました。
▶︎斎藤清美術館
円蔵寺には何度か来ているけど、斎藤清美術館ははじめてでした。
版画家だと吉田博が大好きなのですが、斎藤清の可愛らしくデザイン的な作品をしっかり観て学びたいと思っていたのでココが今回の大本命。
ちょうど蔵書票の企画展をやっていました。
すごく創作欲を掻き立てられました。
こんな小さな世界があったんだ、と。
そして常設作品も素晴らしかった。
木目の活かし方や大胆な構図がとても好み。
何を足していくか、ではなく、何を省くか。
すごくシンプルなのに計算し尽くされたような美しさがある。
白がただの白ではない。
近づいてじっくり見ないとわからないくらいの木目が、作品を引き締めていた。
モノクロに近い作品が多かったけれど、絶妙なバランスで配色されていてグッときました。
例えば、ほぼ影ですられている仏様の横姿の手だけが白で抜いてあって、ただそれだけなのにものすごく濃ゆいエロティシズムを感じた。
「只見川 会津柳津(2)」は水なんてひとつも描かれていないのに、写り込んだ山の影だけでそこに川があるというのがわかって、転げ回りたくなるくらい美しい構図だった。
個人的に今回ものすごく心奪われたのは「雪 夕陽」という作品。
言葉にできないし、むしろ言葉なんていらないくらい。
ポストカードもあったけど、即決で画集を買ってきました。
最近は好きな作品だけポストカードで買うのではなく、多少値がはっても画集を買うようにしてる。
観に来てほんとうによかった。
▶︎恵隆寺 立木観音
会津のころり三観音のひとつ。
ころり三観音は恵隆寺の立木観音・弘安寺の中田観音・如法寺の鳥追観音のことで、苦しまずに死んで成仏できると伝えられていることからそう呼ばれています。
前々から参拝したいと思っていて、今回時間があったので寄りました。
結果、今回のベスト1かもしれないくらい感動しました。
総高8.5mの千手観音像の左右に、人間大の二十八部衆の眷属と風神雷神が揃っている光景には鳥肌が立ちました。
参拝は希望した人だけがお布施を払って、布の向こう側の観音様を拝むことができます。
お布施は300円だけど、正直もっと払うべきだと思った。
今度行くときは包もうと心に決めた。
観音様はそこにはえている木に彫られているので、今でも根っこがはっているそうです。
開眼したのは平安時代。
国の重要文化財です。
右手側の柱はだきつき柱といい、だきついて願い事をすると満願成就するとのこと。
この柱は中だけでなく、外の左右にもあります。
写真とはスケールが違う。
圧巻である。
写真撮影は禁止だけれど、そもそも写真を撮るなんて畏れ多いことはできないと思った。
言葉を失うというか、本当に開いた口がしばらく塞がらなかった。
御本尊を拝見して、たぶん本能で、とてもこわいと思った。
悪い意味ではなく。
あそこには本当に観音様がいらっしゃるような気がする。
観音様の御御足にだけ触れることが許されていたので、畏れ多くも撫で回してきた。
これは願いがなくとも観るべき。
そして、恵隆寺の駐車場の奥には旧五十嵐家住宅があります。
当たり前ながらクーラーなんて付いてないのだけど、ものすごく涼しかった。
庭から見渡す会津盆地はまさに「夏」そのものでした。
きれいなものばかり観てきた。
昔は当たり前の光景だったかもしれないけど、今はもう見ることのできない懐かしい景色。
私だって経験のない光景だけど、戻りたいと思うのはなんでなんだろう。
懐かしいと思う思い出なんてないのに、苦しいくらい懐かしいと思うのはなんでなんだろう。
こういう景色に、古を生きたであろう人々の思いを重ねて空想するのが好き。
あったかもしれない物語に思いを馳せる。
その度に羨ましいとも思い、今の自分がどんなに恵まれているのかを知る。
何時間も運転して、炎天下の中を歩き回って、身体はすごく疲れた。
ひどい肩こりと頭痛で帰りの運転がしんどかったけど、心は少しずつ満たされていくから旅はやめられないんだな。
とてもいい日だった。
夏やすみも残り4日。